易(易占)の基本知識

占いの基礎

易による占いは卜術(ぼくじゅつ)と言われるジャンルになります。

易での占いは、物事の状態、吉・凶、近い未来での進展やふさわしい時期などを占います。

また、自分自身に対するアドバイスも得ることができます。

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易の起源

易占の起源は非常に古く、紀元前2000年ごろの中国、殷(いん)や周(しゅう)の時代に遡るとされています。

もともとは王や貴族が国家の大事を判断するために使用したものであり、自然現象や人間関係の理解を深めるための哲学的なツールとしても用いられていました。

それから、歴史の中で、易占は儒教や道教の思想とも深く結びついて発展しました。

儒教の創始者である孔子『易経』を深く研究し、その解釈を著したとされています。

その後、孫子の時代(春秋時代の末期)になると、戦争の重要な局面では占いが行われることが一般的でした。

占い師が『易経』を用いて、天命や時期、戦略の選択を判断するための助けを求めることがありました。
例えば、戦いの前に『易経』で占いを行い、敵の動向や自軍の運勢を見極め、それに基づいて戦略を決定することがありました。

現代では、易を源流に持つ『孫氏の兵法』はビジネスパーソン必読の書籍といわれているように、実は現代でも、ビジネスの意思決定や人間関係の調整、個人の運勢判断など、さまざまな場面で易は活用されているのです。

易の卦の象徴を通じて、自分自身や周囲の状況をより深く理解し、それに基づいて行動を選択するというプロセスは、心理学やコーチングにも応用されることもあるようです。

易占の種類

一口に易占といってもさまざまな種類があり、それぞれが異なる方法や理論に基づいて占いを行います。

代表的なものには、周易(しゅうえき)断易(だんえき)梅花心易(ばいかしんえき)などがあります。

周易(しゅうえき)

周易は、易占の中で最も基本的で伝統的な占い法であり、一般的に「易経」(えききょう)を用いた占いのことを指します。

「周」は周王朝を示し、周の時代に体系化されたことから「周易」と呼ばれます。

周易の特徴と方法

【64卦の使用
周易では、64の卦(か)を用いて占いを行います。
卦は「乾(けん)」「坤(こん)」などの名前が付けられており、それぞれ異なる意味を持ちます。
1つの卦は6本の爻(こう:陰または陽の線)から成り立ち、陽(―)は積極的、陰(–)は受動的な性質を示します。

占いの方法
筮竹(ぜいちく)が伝統的な方法で、50本の筮竹を用いて数を分けることによって卦(か)と爻(こう)を導き出します。

【解釈
卦の組み合わせから得られる卦辞(かじ)や爻辞(こうじ)を読み、その意味を解釈して吉凶を判断します。
周易では象徴や比喩が多用され、哲学的深遠な考察に基づき物事の本質を理解する意味合いが強い占いです。
周易の解釈は、卦と爻を含めると合計で4096通りの解釈が存在します。

断易(断易)

断易は、周易から派生した易占の一種で、具体的な問題に対する明快な答えを占うのに適しています。

「断易」とは、短時間で明快に「断じる」占いを意味します。別名で「六爻占(りくこうせん)」とも呼ばれます。

断易の特徴と方法

【簡便な方法
断易は、周易よりも占いの手順が簡便であり、短い時間で占いの結果を得ることができます。多くの場合、サイコロやコインを使って6つの爻を得て卦を立てます。

現実的な占い
断易は、具体的な質問(例:商談の成功、旅行の安全など)に対して迅速な回答を提供するのに適しています。
例えば、結婚や仕事に関する具体的な問題について占う際に、断易は的確な答えを導き出すことができます。

四象と六親
断易では、卦の構成における「四象」(青龍、朱雀、白虎、玄武)や「六親」(兄弟、子孫、妻財、官鬼、父母など)を重視し、卦の関係性を詳細に解析することで占いの結果を判断します。

梅花心易(ばいかしんえき)

梅花心易は、宋代の有名な道士・邵雍(しょうよう)が創始した易占の一派です。

梅花心易は、「自然の象」を重視し、物事の象徴や形象、音、数などを通じて占いを行うという、より直感的で詩的な手法を用いる占いです。

梅花心易の特徴と方法

【数と象を用いる
梅花心易は、周りの事象から数や形を取り入れて占う特徴があります。
例えば、風景や物の形、出会う人の年齢や数字など、さまざまな自然現象や偶然の出来事を象徴的なシンボルとして読み解きます。

卦の構築
梅花心易では、特定の出来事や質問に対して卦を立てる際、時刻、日付、方向、周囲の物象などを使って二つの卦を作成します。
これらの卦を組み合わせて「本卦」と「変卦」を導き出し、その変化の意味を解析します。

象意と判断
梅花心易では、得られた卦の「象意」(象徴的な意味)を通じて判断を行います。
数やシンボルの持つ意味を読み解き、直感的かつ詩的な方法で結果を導きます。
占いの対象に対して、時代や環境に応じた判断が可能であるとされています。

その他の易占

易占には他にもいくつかの種類がありますが、代表的なものとして以下のものもあります。

六壬神課(りくじんしんか)
中国の古代占術の一つで、主に天文と地理の観察を基に未来の出来事を予測する占いです。
天地の運行や四季の変化を基にして、占いの結果を導き出します。

奇門遁甲(きもんとんこう)
中国古代の占術で、三国志の時代に諸葛亮(しょかつりょう)が使用したとされる占法です。
九宮(きゅうきゅう)を使い、天文や地理の影響を考慮しながら戦術や戦略を決定する際に使用されました。

周易の64卦

易の基本ともいうべき、周易の64卦(か)は、八卦(乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤)の組み合わせによって構成されており、それぞれ異なる意味や象徴を持っています。

以下に、64卦の名称を順番に挙げます。

  1. 乾為天(けんいてん)
  2. 坤為地(こんいち)
  3. 水雷屯(すいらいちゅん)
  4. 山水蒙(さんすいもう)
  5. 水天需(すいてんじゅ)
  6. 天水訟(てんすいしょう)
  7. 地水師(ちすいし)
  8. 水地比(すいちひ)
  9. 風天小畜(ふうてんしょうちく)
  10. 天沢履(てんたくり)
  11. 地天泰(ちてんたい)
  12. 天地否(てんちひ)
  13. 天火同人(てんかどうじん)
  14. 火天大有(かてんたいゆう)
  15. 地山謙(ちざんけん)
  16. 雷地予(らいちよ)
  17. 沢雷随(たくらいずい)
  18. 山風蠱(さんぷうこ)
  19. 地沢臨(ちたくりん)
  20. 風地観(ふうちかん)
  21. 火雷噬嗑(からいぜいごう)
  22. 山火賁(さんかひ)
  23. 山地剥(さんちはく)
  24. 地雷復(ちらいふく)
  25. 天雷无妄(てんらいむもう)
  26. 山天大畜(さんてんたいちく)
  27. 山雷頤(さんらいい)
  28. 沢風大過(たくふうたいか)
  29. 坎為水(かんいすい)
  30. 離為火(りいか)
  31. 沢山咸(たくざんかん)
  32. 雷風恒(らいふうこう)
  33. 天山遯(てんざんとん)
  34. 雷天大壯(らいてんたいそう)
  35. 火地晋(かちしん)
  36. 地火明夷(ちかめいい)
  37. 風火家人(ふうかかじん)
  38. 火沢睽(かたくけい)
  39. 水山蹇(すいざんけん)
  40. 雷水解(らいすいかい)
  41. 山沢損(さんたくそん)
  42. 風雷益(ふうらいえき)
  43. 沢天夬(たくてんかい)
  44. 天風姤(てんぷうこう)
  45. 沢地萃(たくちすい)
  46. 地風升(ちふうしょう)
  47. 沢水困(たくすいこん)
  48. 水風井(すいふうせい)
  49. 沢火革(たくかく)
  50. 火風鼎(かふうてい)
  51. 震為雷(しんいらい)
  52. 艮為山(ごんいざん)
  53. 風山漸(ふうざんぜん)
  54. 雷沢帰妹(らいたくきまい)
  55. 雷火豊(らいかほう)
  56. 火山旅(かざんりょ)
  57. 巽為風(そんいふう)
  58. 兌為沢(だいたく)
  59. 風水渙(ふうすいかん)
  60. 水沢節(すいたくせつ)
  61. 風沢中孚(ふうたくちゅうふ)
  62. 雷山小過(らいざんしょうか)
  63. 水火既済(すいかきせい)
  64. 火水未済(かすいびせい)

これらの64卦は、卦は、陰陽の変化や相互作用を通じて、自然界や人間の生活の様々な現象を表現しています。

それぞれが特定の象徴やテーマを持っており、周易の占いではその意味を深く掘り下げて解釈されます。

監修・文責 瑚河 慧(こかわ けい)
占い師・ヒーラー。
都内有名占い館での対面鑑定を経て独立。
対面による占い鑑定、ヒーリングセッションのほか、占いレッスン、電話鑑定、メール鑑定、電子書籍やコンテンツの執筆・監修などを行う。
鑑定については 瑚河慧オフィシャルサイト をご覧ください。

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